割烹に寛ぎ満ちる昼の顔
昭和20年代から続く割烹が、お昼に喫茶を始めたのは5年前。「お店が夜だけではもったいないとずっと考えていて」という谷口真由美さんは、創業者から数えて3代目に当たる。店内は年季の入った民芸調の趣ながら、アンティークの家具や食器が意外な調和。北欧のフレーバーティーなど今どきのカフェメニューも、鉄瓶や折敷で供されると、不思議とこの雰囲気によく似合う。
母子で切り盛りする老舗の昼の顔は、何とも和める憩いの空間だ。とはいえ昼の定食は、父親が腕を振るう紛うことなき割烹の味。名物の蕎麦寿司や出し巻など、多彩な惣菜が入ったお値打ち感が評判に。「最初は反対した父も今は協力的で」と笑う谷口さんの新たな試みで、形を変えて老舗の伝統は受け継がれている。