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神戸B面ニュース

2015/11/27

「ザ・シンカイチツアー」が朝日新聞に掲載されました!

メディア情報

『ザ・シンカイチツアー』が朝日新聞に掲載されました!!

以下が掲載内容です。

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(朝日新聞 朝刊 2015.11.23付)

 

かつて「東の浅草、西の新開地」と呼ばれた歓楽街・新開地が、懐かしい味と大衆芸能の街として生まれ変わろうとしている。ターゲットは女性。地元のNPOが主催する女性限定の街歩きツアーは、毎回満員の盛況という。同行して新開地の新たな魅力を探った。

 

女性に人気 新開地

花魁・名画座・洋食…ツアー盛況

 

平日の午後3時半、新開地商店街の歩道に、鮮やかな着物をまとった花魁たちが繰り出した。通り沿いにある「新開地劇場」で「劇団美山」の昼の部が終わり、出演者が観客の見送りに出てきたのだ。

 

花魁は全員男優。歌と踊りと芝居の3部構成の舞台は、約200席の客席が女性客らでほぼ満員になった。女性以上に女性らしい熱演に神戸市須磨区の主婦、桂博子さん(69)は「女形は初めてで驚いたけど、すてきでした」と目を奪われていた。

 

桂さんは今回、「新開地まちづくりNPO」が開催する「ザ・シンカイチツアー」に参加。ツアーは、男性向けの繁華街というイメージが強かった新開地に女性を呼び込もうと、2005年から催している。ほぼ月1回10人限定で募集しているが、京阪神からの参加者で毎回満員だという。

 

一行は午前10時過ぎ、商店街内にあるNPO事務所を出発。まず立ち寄るのが創業84年の居酒屋「高田屋京店」だ。名物おでんの砂糖と塩だけの優しい味付けは、2代目女将の鈴木寛子さん(80)夫妻が編み出した。「濃いめにする店が多い中で家庭の味でやってきた。それが良かったみたい」と笑う。

 

鈴木さんが結婚をして店に入った1960年ごろは、新開地に20件以上の映画館や劇場があり、造船所で働く男たちが毎夜集まって大変なにぎわいだったという。風俗街も近く、「若い女性が1人で歩ける街ではなかった」と振り返る。

 

57年に市役所が新開地近くから三宮へ移転。70年代に入って造船業などが斜陽になると、急速に人通りが減り、映画館が次々に閉館。活気を失った。

 

それでも、映画館3館と大衆演劇場1館が今も残る。そこで一行が次に向かったのが、昔ながらの2本立ての名画上映を続ける「パルシネマしんこうえん」と、新開地劇場。パルシネマのオーナー小山康之さん(71)は「44年前の開館時はほとんど男性客だった。最近は女性客のほうが多いです」。劇場を経営する大和興行会長の森本利雄さん(72)は「芝居は生身の人間の魅力。泥臭さがこの街にあっているんだと思う」と語った。人気劇団には全国からファンが集まるという。

 

95年の阪神・淡路大震災では、木造の旧劇場が倒壊。新劇場が完成するまで、近くのストリップ劇場で公演を続けたという。「多くの劇団から救援物資をもらった。うれしかったね」

 

一行はその後、67年前の創業から内装や調度品がそのままという「喫茶エデン」で記念撮影。テーブルや椅子は船の内装会社の職人が作ったもので、2代目マスターの堺井太郎さん(61)は「洋上でも痛まないように作ってある。今もがた一つありません」。

 

最後に立ち寄ったのが洋食店「グリル一平 本店」。3代目オーナーシェフの山本隆久さん(59)は、震災で当時の料理長が故郷に引き上げ、厨房に入って約5年で料理長になった。

 

店の名物、オムライスの卵がきちんと巻けず、客から怒られた。「それでもここのお客様はまた来て下さる。そのうち『ちゃんとできるようになったな』と。この店の味は、新開地の皆さんが作ってくれたものなんです」

 

ガイド役を務めるNPOの西島陽子さんは「今の新開地はおじさん専門の街ではない。三宮や元町にはない魅力をぜひ見つけてほしい」。次回2月5日の参加者募集は12月25日から。1人5千円。問い合わせは同NPO(078・576・1218)。
(三嶋伸一)

 

20151123朝日新聞