「良いものを長く」洒脱な紳士御用達のテーラー
懐かしさに溢れた黄色の看板が目を惹く。「筆文字で作ってほしい」と看板のデザインを注文したのは先代。昭和28年の創業当時は、その名の通りオーダーメイド専門で、2代目店主の村田さんも小学生の頃から店の手伝いをして育った。
新開地劇場の辺りから、教会付近、そして松竹劇場があった今の場所に移り、カジュアルな紳士服を取り扱い始めてから、2013年で30年目を迎える。「もとはカジュアルなものは少しだけだったんだけど、評判が良かったから、品数を増やしていくうちにこうなってね」時代の流れとともに、少しずつ今のような品揃えになったと話す。
「少し高くても、良いものを長く使ってほしい」と、取り扱う商品は日本製が中心。ほかに、イタリアのカジュアルブランドのものや、革のジャケット、ジーンズなど店内に並ぶアイテムは幅広く、珍しいデザインのシャツやベルトなども。「黒い瞳の日本人の感覚ではこのような色が出せないだろうな」と見せてくれた色鮮やかなオランダ製のシャツは、洒脱な紳士を連想させる。
創業当時から受け継がれている「良いものを長く」というスタンス。なかには、20年前に仕立てたスーツを着て来店する顧客もいるという。「うれしいけど、さすがに商売にはならないね」と苦笑いするその表情には、自信と誇りがみなぎっている。