顔ぶれは替われど替わらぬ牌の音
昭和24年、ビリヤード場として開業した後に、雀荘に改装された『平和荘』。
雀荘と聞くと少々荒っぽい場所を想像するが、扉を開けてみれば、どこか和やかな空気。
創業者・廣谷圓次郎氏が意匠を凝らした建物は今もって、当時のハイカラな“遊技場”の面影が残る。
男の世界と思われがちだが、卓を見回してみれば、女性の姿もちらほら。
麻雀教室を開く時などは、若い女性が集まることも珍しくないそうだ。
「最近は、主婦を中心にずいぶん女性客も増えました。特に若い方は興味はあるけど来づらい雰囲気があったんでしょうね」。数十年、お客を見続けてきた廣谷さんにとって大きな変化に違いないが、4人が直に顔を突き合わす麻雀は、娯楽があふれる今だからこそかえって新鮮に映るのかもしれない。
とはいえ時代が移り、雀荘を訪れる顔ぶれが替わろうとも、廣谷さんの姿勢は変わらない。
初心者の女性ににこやかに麻雀の醍醐味を伝える姿も、いまは目新しいかもしれないが、いずれこの街の日常に溶けこんでいくはずだ。