
本格懐石を修業した料理人が手がける、居酒屋みたいな鉄板焼き屋
“居酒屋のような鉄板焼き屋”と話す店主の紀伊さんは、有馬温泉の甲陽閣などで修業を経た懐石の料理人。「昔は、こう食べた方が良いというこだわりが人一倍強かった」と話す。仕出しをやっていた当時、本格的なこだわりの味付けのものより、おばあちゃんが作ったような庶民的で素朴な味わいのものの方がお客から好まれたという。「醤油で食べたい人もいれば、ソースで食べたい人もいる。お客さんが食べて美味しいと思ったものが正しい」ということに気付き、そのスタイルが今のお店に反映されている。
常連からの電話は、本日のお任せコースの相談。客の予算や要望に合わせ、毎朝市場で目利きした旬の幸を料理してくれる。また、定番の鉄板メニューは、歯ごたえを残して炒めた淡路産の玉ねぎの甘さが美味しい「焼きそば」。ポテトチップスをチーズの上に乗せて薄く焼いた「チーズポテトの薄焼き」。とろりとした半熟オムレツをのせた「オムそば」や「オム玉」もおすすめの一品。カウンターだけの落ち着いた店内は、ひとりで来る女性の姿も。
「みずみずしくて、とっても美味しい」と話す、この時期にしか出ない極太アスパラを、つい箱買いしてしまったそう。旬の良い食材を見つけるとつい買い占めてしまう。「こだわっていないところがこだわりかな?旬のものを美味しく食べてほしいからね」と話す。”ちょっとしたこだわりのある店”のこだわりは、通ってみてこそ気づく。常連こそが知る、新開地のうれしい穴場だ。