相棒は洋食仕込みの名脇役
「珈琲は小学生の頃から。ご飯の時もお茶よりカフェオレでした」という二代目店主・松岡啓輔さん。昭和50年に洋食店を開業した先代が、長年の希望だった自家焙煎の店を始めたのはおよそ30年前。
根っからの珈琲好きの松岡さんだったが、焙煎の経験はなかったため、亡き先代残した6種の豆を傍らに置き、日々、試行錯誤を重ねた。サイフォンで淹れる珈琲と共に、先代の味を継承するのが名物の玉子サンド。パンをはじかんばかりの厚い玉子焼は、半熟のとろみを残したフカフカの食感が後を引く。
洋食店時代の面影を残す一品は、「実は家で作ってくれていたものを再現したんです」と松岡さん。父の思い出の味と、“深めの苦め”のブレンドの取合わせは、今や店の顔たる名コンビだ。