
しなやかな“型”が生み出すいい塩梅
年季の入った店に入ると、カウンターには細身の男前。注文が通るたび、串を皿に乗せると、塩を手にした右腕を高々と持ち上げる。しなやかな手つきはバーテンダーか、舞踏家か。ハラリハラリと振る塩に、思わず目は釘付けになる。「先代のやり方を見よう見まねで覚えたんです」とはにかむ、二代目店主・家本さんは弱冠23歳で店を継いでおよそ20年。
串に均等に塩を振るべく編み出されたこの型は「串との距離感が味の決め手となるので変わらないように」と、よく見れば右手は常にダクトの縁に触れる高さに保つ。決して伊達や酔狂ではない。表面がパリッと香ばしいだんご、プリプリと弾ける皮など、品書きは7種のみと潔いが、それゆえ際立つ絶妙の塩梅は妥協なき職人気質の賜物だ。