お母さんの手料理を味わうように、ほっと温かい気持ちになる店
新開地商店街の浜側、アーケードが切れた筋を少し西へ入ったところに、人には教えたくない(でも教えたい)隠れ家がある。
居酒屋風の赤い看板が目をひく「やよい」。"家庭料理の店"と書かれた暖簾をくぐると目に入ってくるのは、定食から一品料理、どんぶり、うどん、お好み焼きといった豊富なメニューの数々。
昭和26年、美味しい家庭料理を味わってほしいと先代がこの店を創めた。当時、神戸一の繁華街だった新開地には、川崎重工に勤める人、映画や芝居見物にやって来た人で賑わい、店も多くの客で溢れかえっていた。「嫁いでこの店に来たんだけど、当時は目がまわるほど忙しくて、死にものぐるいで働いたんよ」と2代目女将。
メニューもその手作りのスタイルも創業からほとんど変えることなく、出汁づくりから丁寧に、お米などの食材もプロの業者さんに選んでもらったものから吟味。「バランスのとれた美味しい料理を味わってほしいし、何より手を抜くとお客さんに伝わるから。」
舌の肥えた新開地の常連客たちを相手に、 店を切り盛りしてきた自信と誇りがみなぎる。