9月8日神戸新聞朝刊に神戸・新開地喜楽館に関する記事を掲載していただきましたので、ご紹介いたします。
記事の内容は以下のとおりです。
上方落語の魅力って何?
7月にオープンした演芸場「神戸新開地・喜楽館」(神戸市兵庫区)には、もう行きましたか。毎日、上方落語をじかに楽しめるとあって、夏休み中は親子連れなどで大にぎわいでした。「かみがた」と言っても、珍妙なヘアスタイルで笑わせる訳じゃありませんよ。えっ、それは髪型?
ならば上方落語にまつわるよもやま話、しばしお付き合いのほどを…。(松本寿美子)
関西らしい にぎやかな演目
小拍子、見台…独自の道具も
―なせ「上方」?
「江戸時代、東京の『江戸』に対し、京都や大阪は『上方』と呼ばれました。それぞれの土地で落語や歌舞伎などの芸能文化が発展し、江戸落語に対して上方落語、江戸歌舞伎に対して上方歌舞伎などと呼ぶようになったんですな」
―違いは?
「まずは言葉。上方落語は上方の言葉、つまり関西弁で語られます。さらなる特徴は、にぎやかな演目が多いこと。噺の途中に三味線などのお囃子が入ったり、手に持った『小拍子』で『見台』(机)をたたき鳴らしたり。座布団の前に置く『膝隠し』という木の小さなついたても、上方ならではの道具です」
―どちらが面白い?
「はて…。扇子と手ぬぐいだけで語る江戸落語の粋で端正な感じもよろしいが、派手でコテコテな演出が、やはり関西人にはしっくりきますなあ」
―同じ演目もあるの?
「しばしば東西の交流が見られます。有名な例は『時うどん』。2人の男がグルになり、屋台のうどん屋で店主に時刻を尋ねるふりをして、代金一文をごまかす古典の名作ですが、江戸落語では『時そば』として演じられています」
―落語家って何人?
「上方には約270人おり、毎日上演する『定席』は大阪・天満天神繁昌亭、そして神戸新開地・喜楽館で二つになりました。江戸は約600人に対し、定席が四つ。高座に上がる機会でいえば、江戸に並んだといえますやろか」
―ほかにも違いが?
「江戸落語では芸歴に応じて『前座』『二ツ目』『真打ち』という序列がありますが、上方落語には現在その昇進制度はありまへん。それは人気や実力を重視しる上方の風潮に合わない、という意見が多いからのようですな」
―両方見られる舞台は?
「9月23日には神戸文化ホール(同市中央区)で毎年恒例の東西落語名人選があり、東の柳家小三治さんら、西の桂文枝さんら指折りの実力派が競演を繰り広げます。それぞれの違いを実感できる格好の機会です」
―喜楽館では?
「昼席(午後2時~4時半ごろ)には毎日上方落語6席と落語以外の色物2席があります。初めの若手からトリのベテランになるにつれて力みが抜け、円熟味が増していく感じがたまりませんよ。芸能は実演に接するのが一番。まずはいっぺんお運びいただいて、どうぞ笑いで残暑を吹き飛ばしてください。」
新開地駅東改札3番出口を上がればすぐの「神戸新開地・喜楽館」=神戸市兵庫区新開地2