洋風の新味に息づく和の心
創業から80余年、名物の瓦まんじゅうややわらか焼など、変わらぬ手焼きの製法を受け継ぐ和菓子舗。甘い香りが漂う店の中で、ずっしり重い型をコンロにかけ、火加減が違うものに次々と移動しながら焼く姿は、どこかリズミカルで、見ていて飽きることがない。
そんな昔ながらの和菓子と並んで、今までにない老舗の名物としてすっかり定着したのが、洋菓子出身の三代目が考案した洋風菓子。
「純洋風ではなく、和菓子屋らしい一品を」と、平成22年に登場した和三盆ロールをはじめ、細やかな工夫で繊細な風味を生かした新作の数々は、どこか懐かしさを覚える心なごむ味わいだ。今は四代目も厨房に入り、次なる伝統を紡ぐ老舗は日々新たに名代の味を進化させている。