幾星霜、汲めども尽きぬ未知の名作
2011年に開館40周年を迎え、「ここまで続くとは思いませんでしたね」と感慨深げな小山さん。2代目オーナーとして28年、館内を少しずつ改装し、女性シートや膝掛けの貸出など独自の工夫を重ねてきた。
それまでアクションものばかりだった作品も徐々に変え、2番館ならではの未知の名画との出合いを演出。「皆さん好みはありますが、より幅広く映画を観てほしい」と年間約250本を鑑賞し、自らの経験を元に選ぶのがモットーだ。上映前の解説もそんな熱意から生まれたもの。10数年前、ほとんど知られていない韓国映画を上映する際、簡単な前説をしたのが始まりで、今や名物の一つとなっている。
それでも震災後は「気持ちが折れそうになった」と振り返る。その中で励みになったのは、再開を知らせる貼紙に書き込まれたファンの言葉だった。「まだ街も復旧していない頃、歩いて来てもらったことに驚きました」という予想外の出来事に館の存在価値を改めて認識したという。
数々の作品の魅力を伝え続けてきたが、「言葉を並べるより、まず映画館に来てもらうことが大切」と小山さん。「観れば分かりますから」の一言に込めた思いは、今も深みを増す。3代目支配人・小山岳志さんがに代替わりした現在も、映画のセレクションや前説のスタイルは受け継がれ、関西一円から映画ファンが訪れる名画座として愛されている。
最新の情報はこちらをクリック!(2022年6月)https://shinkaichi.or.jp/gotoshinkaichi/palcinema/